ケント6のロングボックス
ながさわさんのたばこは、もう長い間、これなのだが、このたばこのことを、近くの商店の、ひっつめ髪のおねえさんは、はきはきと「ケント6のロングボックスでございますね。」と確認する。ああ、このおねいさんはたばこ吸わないんだろうな、どちらかというとたばこは厭(きら)いなんだろう、と消化して、気に留めないようにしているのだが、やっぱり気になる。
まず、たばこの正しい名前に「ロング」はない。国産たばこは、両切りのピースが 60mm で、フィルターのついたハイライトやセブンスターは、80mm の「キングサイズ」という。それより長いものは 100mm の「100's(ひゃくえす)」と言い、どこにも「ロング」なんて単語は出てこない。相対的に、両切りのピースを「ショートピース」、キングサイズのピースを「ロングピース」と言ったりはするが、それは固有名詞に近い。百歩譲って、相対的な表現を受け入れたとしても、「ソフトパック」の対義語である「ボックス」を、「ロング」につなげていうことは、まず、ない。もっといえば、KENT の 6mg に、「キングサイズ」はあるが、「ソフトパック」はない。
べつのおねえさんは「ケントの6ミリのロング」というが、これは正しい。ケントの 6mg は、むかし、「スーパーライト」といっていて、この表現だと、「ケントの」の「の」が、KENT 6 の前身は「スーパーライト」だったことを知っていることをうかがわせるからだ。さらに、「ボックス」と言わないところも、ソフトパックがないことも知っているのだと感じ、とても、安心する。しかし、「ケント6のロングボックス」ではない。繰り返しになるが、KENT の 6mg に、ソフトパックはない。そして、KENT の 6mg には、キングサイズと 100's があるのであって、これらは、いわゆるショートピースよりも「ロング」である。
…まあ、この健康増進法がはびこる世の中、たばこに対しては、いろんな思いがあって、吸わない人のほうが多い昨今なので、伝わるからよしとしていますが、銘柄、タール、サイズ、形状という組み合わせを間違えなければ、売り手としてはそれでいいんだけど、ありえない組み合わせはあるし、組み合わせによって、たばこのアイデンティティーみたいのもあるし、なんかそういうのがないがしろになってる感じがするのが、いちばんアレなんだろうなあ…。
ちなみに、正しい名称は「ケント・6(シックス)・100's・ボックス」。ぼくのいちばんしっくりくる言い方は「ケントスーパーのひゃく」。商店街のおばあちゃんには通じます。
「86番をふたつください」
「ケント6のロングボックスでございますね」
「ちゃう、ケントスーパーライトのひゃくえすやけど、今の言い方なら、ケントシックスのひゃくえすです。」
と今度言ってみようかしら。
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ひさしぶりの更新ですいません。
ずっと Facebook に書いていたので、今日はちょっとこっちに書くことにしました。
(Facebook 書きやすいんだよなあ。。。なんか、いろいろな思惑にハマっているなあ。。。)
ごきげんよう。