shin'nosuke さんのアレグロモデラート

アレグロモデラート(Allegro moderato)は、速さを示す演奏記号で「穏やかに速く」

POSレジに恋した高専生

こんばんは。
ずいぶん想像力をかき立てられる記事がありましたので紹介します。
まず、shin'さんの、かき立てられた想像から書きます。そのあとに該当記事のリンクがあります。まず、shin'さんの、長くてくどいうえに推敲が甘い文章に感情移入してください。


 小さいころお母さんといっしょに行ったスーパーマーケット。かごいっぱいに詰まった、食料品や日用雑貨を、手際よく赤い光にかざす、レジのおばさんをじっと見つめて、あの箱のなかはどうなっているんだろうとずっと考えていた。…テレビゲームは6とか12個のブロックくずしみたいのができるのしかなくて、家のテレビも、このあいだリモコンがついたばかりだったけど、あの箱のなかには、私の家の、今日の献立とか、誰の歯ぶらしがなくなったとか、そんなことが、ぜんぶ、入っている。

 私は、国立高専の電子科に進んだ。もともと、あんまり、数学とか理科は得意じゃなかったけど、早くあの箱の正体を解き明かしたかったからだ。授業は、古文とか漢文とか、英語のほうがおもしろかったけど、私は、優秀な男の子に囲まれながら、一生懸命、彼らに追いつこうと、必死に食らいついた。

 二十歳の春。パソコンはマウスがまともに使えるようになり、ずっとほしかった国産のあの機種は、私のバイト代で買えるようになった。小学生のときに好きだった男の子の名前をつけた、そのマシンで、たいていのソフトの操作を体得した。そして、念願叶い、あの箱を作る会社に就職することができた。

 しばらくはわからないことだらけだった。もともと、しゃべるのがあまり得意でない私は、同僚に質問するのにためらったり、上司にうまく報告をすることができなかったり、いつも怒られてばかりだった。その場でメモをとるようにして、帰って何回も復習した。2種とか、1種とかいう資格があることも知り、猛勉強して、3年目で1種を突破した。

 あたらしい仕事が動くときは、たいてい、地方に長く出張になる。国道に面した大型店がお客さんだ。ハードウェアやソフトウェアのカスタマイズの要望を聞いたり、店舗内でのハードウェアの配置、配線、障害対策、ときには、自分でプログラムを書いたりもする。開店日は近づき、私の作業も深夜に及ぶ。
 確かに、からだはしんどかった。でも、仕事だし、それは、自分で選んだものだった。まだまだ、表面づらで、箱の正体はなんとなく理解はしたように思えたが、まだまだ知らないことがたくさんあった。
 そして何よりも、今、ここで、甘えたり、逃げたりすると、これまで自分が、からだで覚えてきたことが、失われていくようで怖かった。

 私のおうちのマシンはすでに5代目になっていた。名前はそのままで5世。ケーブルをつなげば、今日のニュースが出てくるようになったころ。忙しくないときは、コーヒーを飲みながら、ニュースをチェックしてから家を出るが、きのう、家についたのは、夜中の1時を回っていた。わずかの睡眠をとって、朝7時。簡単に朝食をすませ、薄化粧だけして、家を出た。

 昨日の睡眠時間は4時間くらい。こんな生活がもうすぐ3ヶ月になろうとしている。つらかったが、強い気持ちは変わらない思っていた。
 ふと、議事録の回覧に、サインをしようとしたとき、指の震えが止まらなくなったことに気がついた。疲れているんだと思った。議事録を次のメンバーに渡して、デスクに戻り、作業の続きをしようとしたとき、この次、どうすればいいのかということがわからなくなった。この間までは、目をつむっていてもできていたことなのに!。わたし、変だ。
 …涙が止まらなかった。


長期出張がつらい - システムエンジニアリング - 教えて!goo


さて。

回答をフツーに書いていたときは、手の抜きどころがわからないまま突っ走ってきた38さいのオッサンだと思っていた。とはいえ、「長年苦労として体得してきた」のくだりとか、質問の各行が1行空いてあるところとか、ちょっと健気な面に違和感はあったが、思い込みは翻らなかった。
しかし、お礼とか読んでいると、質問者は女性だったようだ。まさしく、ハンドルネームがそうじゃないか。負けないように、一生懸命食らいついてきたのに、自分のからだがついていかなくなったことが、無念極まりないという心情が、この上なく、感じとれる。

想像では、POSレジに恋した高専生という設定にしましたが、フィクションですので、念のため。しかし、ちょっと、やはり、推敲が甘いのと、後半のくだりが、盛り上がりに欠けるので、ちょっと寝かせて、ちゃんと「無念極まりない心情」を書き示してみたい。

ちなみに、shin'さんの回答の後段の(笑)つきの記述。これは、いつかどこかで書いたコードをまた書くことがつまらない、ということと、妥協が混同しているということにようやく気がついた。こたえはいつまでもない。僕は別の意味で涙が止まらない。
 
 
はんほげー。