shin'nosuke さんのアレグロモデラート

アレグロモデラート(Allegro moderato)は、速さを示す演奏記号で「穏やかに速く」

2010年の楽天の戦い方から学ぶこと

今年の楽天は散々な結果で、監督の解任、ノリと、こさっちと、憲史(と松本)には、戦力外が言い渡された。今年の収穫といえば、聖澤、嶋などの若手の飛躍と、"スリーマウンテン"と呼ばれた、青山、片山、小山という中継ぎのパターンが作れたことだろう。

今季のチーム成績は、62勝79敗(借金17)、首位とのゲーム差は15、勝率.440。とはいえ、防御率は、リーグ4位ではあるが、3.98と3点台。打率、本塁打はそれぞれ、.265と95本であって、昨季の.267と108本と大きく変わっているとは思えない。防御率に至っては、昨季は、4.01だった。今年はソフトバンクや西武が本気を出したということや、ロッテの躍進という理由もあろうが、楽天としては、何がいけなかったのか考えてみる。

次のグラフは、天才草野くんの冷遇ぶりを確かめたいという理由だけで作った、今季の打順の変遷である。何色が誰かというのは、現時点では大きな問題としないから、説明はしない。

楽天2010打順推移
ちなみに昨季はこうなっていた。
楽天2009打順推移

この折れ線だけみても、今年の楽天は、自軍の戦いを見出せなかったのは一目瞭然といえる。グラフの中央よりやや左がオールスターであるのだが、昨季は、オールスター以降に、大きな打順の動きはないが、今年は、地に足が着いていなかったように見える。

昨季は、鉄平(えんじ)、山崎(深緑)を中心に、渡辺(群青)が主に1,2番を打ち、セギノール(薄水色)、リンデン(水色)が中軸を、草野(青)、高須(黄)が調子や相手投手に合わせて、打線をつないでいたという構図がはっきりと見て取れる。

しかしながら、今季は、鉄平(青)と山崎(黄)、また、聖澤(薄黄)の打順こそ、不動ではあるものの、脇を固める、渡辺、高須、内村、中村の打順が行ったり来たり、草野は使われない日もあったし、小坂は最後までほとんど使われなかった。

では、なぜ、今季はこんなにも打順が動いたのか。僕は、聖澤、ノリさん、外国人にこだわった結果ではないかと思う。
聖澤は、足が速くパンチもあるから、1番は結構なのだが、問題は2番である。今年、2番は、嶋や鉄平も打ち、最終的には、内村や渡辺が務めたが、2番は小技を生かす位置である。ここは、高須か、故障明けの小坂に任せるべきだった。聖澤を1番にしたことで、内村、渡辺の居場所が不鮮明になってしまった。聖澤は恐怖の9番で固定すれば、1番渡辺が固定できた。2番を誰にするかという問題は、下位打線のブレにまで波及する。
リンデンはセギノールがいなくなってしまって、とうとうキレてしまった。リンデンは外野だったが、今年の外国人の、フィリップスとルイーズはファースト、となると、ノリさんはサード固定。


2番や6番の役目が固定できなかったことにより、犠打は、昨季の121から106に減っている。また、盗塁が103から78に大幅に減っていることから、渡辺、内村、中村がどうしていいかわからなかったということも明らかだ。

戦略的な観点から言えば、チーム全体の打率、防御率が昨季と変わっていないのに、最下位だったのは、打順が、打線になっていなかったということが、犠打や盗塁数から見てよくわかる。とはいえ、ブラウン監督は、選手個人の自主性を尊重するような人物であったそうであるから、抜擢された若い選手たちが、しかるべき失敗をしたということかもしれない。

いずれにせよ、犠打、盗塁の減少、外国人とノリさんの重用、内野5人
シフト、ベース投げなどから、ブラウン監督が志向したのは、ダイナミックで、パフォーマンスとして楽しい野球であったようで、ノムさんのような緻密な戦術を、大きな戦略としては示さなかったのだろう。スタメンが打線になっていなかったというのが、一番の問題であったと思うが、総じて、これらのことが、今年の楽天の、おかしな采配と言われる

昨年、緻密な戦術を駆使し、無形の力を発揮した楽天ナインにとって、そういった戦略の方向性の違いを消化できなかったという言い方もあろう。