shin'nosuke さんのアレグロモデラート

アレグロモデラート(Allegro moderato)は、速さを示す演奏記号で「穏やかに速く」

札幌うるさい

Yahoo!プロ野球 - 2009年10月21日 日本ハムvs.楽天

いやー。

中継見てなかった人にわかりやすく説明してあげます。

先発はハム武田勝楽天永井。

永井は初回に田中賢介のツーベース→ひちょり送りバント→高橋の犠牲フライという、ハムの得意パターンで1点を失うものの、抜群のコントロールと全然当たらない縦のカーブが冴え、尻上がりに調子をあげていく。
一方の武田勝の調子は今ひとつで、草野のヒットと犠牲フライ、リンデンのセンター前ヒットで3失点。7回まで辛抱するものの、中谷のセンター前ヒット、高須のツーベースが出たところで降板。代わった江尻は、1塁が空いているので、首位打者鉄平を敬遠して、4番山崎との勝負。第1ステージの2戦目で放ったホームランの余韻覚めやらぬ楽天ファンは、山崎の一発を予見するものの、惜しくもスタンドインはならず。しかしながら、走者一掃のツーベース。この時点で6対1。楽天は5点のリード。13勝の永井が投げ、4番が打つ。回は7回。楽天は、みんなが仕事をやり遂げ、ファンは勝ちを確信した。

リードをもらったその裏。永井のピッチングのテンポは最高潮に達し、ハムは三者凡退。全国の楽天ファンは1勝のアドバンテージを埋め、タイにできるだろうと、信じて、疑わなかった。

8回表、ハムのピッチャーは坂元に代わり、楽天は点差もあったので、淡白な攻撃で三者凡退。そして、その裏。永井は、1番の田中賢介を三振に取るものの、ひちょりにセンター前、ハムのバッターは3番稲葉、それまで、非常に行儀がよく、上品なムードが漂っていた札幌ドームの雰囲気が一変する。

今日の札幌ドームは35,000人がつめかけた。いくら仙台と札幌が近いといっても、ほとんどが日ハムファンだったろう。ドーム全体が揺れるとも言われる、通称「稲葉ジャンプ」と、札幌移転後、封印されていた東京限定のチキチキバンバンの演奏。そして、低音だけでなく、黄色い声と高音を通り越した、真空のような甲高い応援コール。稲葉は、ファールで粘って、永井の甘く入ったフォークをツーベース。解説の光山も「今日の永井を打つにはこれしかない」ということを稲葉はやってのけた。続く高橋信二にセンター前にタイムリーを打たれたところで、永井は降板。6対2。この時点でも、全国の楽天ファンはやはり、タイにもちこむことを信じて疑わなかっただろう。続くピッチャーは第4の男と目されていた藤原。ベンチに下がる永井に、札幌ドームからの拍手は聞こえなかったが、僕は、永井に拍手を送っていた。

藤原が対するはスレッジ。1球目は外角に外れて、藤原の緊張を感じる。2球目はストライクで1-2からの4球目、内角低めのストレートをスレッジがライト前。6対3。しかし、デヴュー戦に準完全試合をやってのけたとはいえ、ルーキーである藤原は責められず。続く、小谷野に対して、ノムさんは細かい継投に。ピッチャーは小山。楽勝ムード漂う楽天ベンチのブルペンは暖まっていなかったと光山が解説したが、小山は2球続けて暴投。小谷野を三振を取るものの、続くバッターは左の糸井。もちろん、ピッチャーは有銘に代わる。シーズン中、糸井に代打ということはありえなかったが、ここで、梨田監督は、とっておきの代打に二岡を送る。

右打者に投じにくそうにしていた有銘も、ブルペンが暖まっていなかったという光山の解説が示すとおり、コントロールが定まらず、痛恨のワイルドピッチで、1点献上。そして、二岡に対しては、結局、ワンスリーからフォアボール。続く、キャッチャーのところで、代打は左の稲田だったが、もう代えないとしょうがないという感じで、ピッチャーは川岸に代わる。

川岸はレフトに浅く上がるフライを見て、ガッツポーズをした。全国の楽天ファンはハラハラさせられたが、川岸は稲田を打ち取る。6対4。

9回表。2点差になり、ムードは完全にハムペースになってしまったが、中谷がライト線に長打コースを放ったところで、ハムのピッチャーは林くんに代わる。中谷の打球は、当たりが良すぎて、シングルヒットだったが、続く、小坂はわずか1球で送りバントを確実に決めた。渡辺直人はインハイのストレートを詰まらされて打ち取られたが、続くバッターは首位打者鉄平。林の初球は、ゆるいカーブで、鉄平は全力で空振り。鉄平は、ライトが浅めだったので、高く上げてやろうと思っていたという。高めのつり球を見たあと、狙いすましたかのように、1球目と同じようなゆるいカーブをライトスタンドに持っていった。

2点差にまで縮まった点差は、鉄平の一振りで、4点差に戻った。ハムペースだった流れを楽天に取り戻し、全国の楽天ファンは、ここで、タイに持ち込むことを「確信」した。続く山崎は三振。山崎はチャンスで仕事をすればよい。


時刻はすでに21:20を回っていた。8対4。全国の楽天ファンは、今年接戦を競り勝って7勝を挙げた福盛のクロージングを肴に、うまい酒を呑もうとしていた。僕もウィスキーのジンジャー割りをもう一杯作った。

金子誠をセンターフライ。よしよし。続く田中賢介はツースリーからレフト前。まあまあ、こういうシーンはシーズン中でもよくあった。しかし、ひちょりが初球をセンター前へ。おや?

解説の光山が云う。「福盛のコントロールが悪いですね。永井のカーブは打てなくても、福盛のカーブは打てるでしょうねえ。」続く稲葉も初球をセンター前へ。福盛のクロージングにありがちな、点差の開いた場面での1点献上。やれやれ。

しかし、続く高橋信二に対して、ツースリーから中谷のサインに首を振って、外角のフォークを見定められた。高橋は、フォアボール。8対5。ワンナウト満塁。バッターはスレッジ。それでも、全国の楽天ファンは、3点という点差を裏づけに、タイに持ち込めることを信じて、いた。

光山の「福盛のボールに当てることは容易でしょうねえ。」という解説とは裏腹に、スレッジは、福盛の初球、チェンジアップをボール1個分外して空振り。束の間、いや、絶対的な安堵が、若干の不安がありつつも、僕の中を通り抜けた。そして、福盛は、外角低めに、138km/hのストレートを放った。

点差は3点差。塁はすべて埋まっている。僕には的確な状況判断ができなかった。スレッジの、力ない打球はレフトに上がったいった。レフトのリンデンが追う、追う、ん、足が止まる、止まる。ホームゲームの中継にも関わらず、半ば、あきらめ気味の発言もあった、解説の光山は「あっ。」と云った。中継のカメラは、レフトスタンドの下段を映していた。3点差、塁はすべて埋まっている、ボールはレフトスタンド。


8対9。
逆転サヨナラ満塁ホームラン。


僕は「なんじゃこりゃ。」と肩を落して、声を絞り出すように、つぶやいていた。
そして、光山は「野球漫画を見てるみたいだ」と云った。






客観的な反省は、いろいろあるだろう。シーズン中の楽天の悪い戦い方、そのものである。野村監督コメント集を参照してください。


さっき、電話かかかってきたお客さんには、3勝したほうが勝ちって言ってしまったが、ごめんなさい。1勝のアドバンテージの6試合制だから、やっぱり、第2ステージは4勝先にしたほうが勝ちですね。ちょっと、冷静さを欠いていました。

明日、明後日は、岩隈とマーくんだろうから、タイに持っていけるだろう。


そして、切り替えて、
明日も順調に、
いつもどおり行きましょう。
 
そして、どうか、みなさん、
札幌と楽天に、

全力の波動を送ってください。


お願いします。